2007年8月30日木曜日

景色の落し物

 旅行をして思うのは、それまでの自分の生活がその旅行によってリセットされることだと思う。

 僕はリスボンに4ヶ月住んでいて、まだそんなに長くすんでいるわけじゃないけど、やっぱりポルトガルが好きだ。でも、好きだ好きだといくら思っていてもそれがどうしてなのか分からなければ、結局、自分の住み心地のいい場所であるに過ぎないと思う。

 僕は今回の旅先で、久々に会った友人たちにポルトガルが、リスボンがどんなに素晴らしいかを力説するあまり、少しうっとうしがられた。

 しかし、そうしたつまらぬ説明の中に自分でも見落としていた見慣れた風景が隠れていることもある。そんな旅だった。

2007年8月29日水曜日

旅の後



 ようやく、欧州旅行も終わって一息ついています。

 この旅行はヨーロッパに留学に来ている友達を訪ねるもので、宿代のかからぬ安価な旅のはずが結構かかってしまった。やっぱり旅行はお金かかるものだなと改めて思った。

 ドイツ-チェコ-オランダという順に回ってきた。

 留学している友達たちは、今がちょうど夏休みの真最中で、ここぞとばかりにいろいろとヨーロッパを旅行して来ていた。そういう話を聞いてみて思うのは、ポルトガルはヨーロッパの中でもすごく田舎なんだな、ということ。実際、人から馬鹿にされるだけでなく自分でもそう思う。
 
 まぁ、そういう良さってのがあるんだが。

2007年8月17日金曜日

街で見かけたジョセ


 私の友人Iは私の開いていた日本語サイトを見て、未だ見たことの無い異国の地の文字を楽しげに眺めている。すると、Iは「何だかこれ「楽」は元気な人のようだ」と言ってきた。
 私は驚いた。漢字をほとんど初めて見る人がその意味を正確ではないが、言い当てたこと。
 もちろん、漢字は絵文字をの一種であるから、その意味は形から判断することができる。
 だけど、漢字に対して何の基礎も無い外国の人に、そんな勘が働いたことがどうしても信られなかった。私はひょっとしたら、漢字のことをいくらか知っているのかもしれない。と思って、「じゃぁこれは?」といくつかの漢字について尋ねてみる。すると、どれもそれ程的外れというわけでもない。

 さすがに「日本語を知っているかもしれないと疑っているんでしょう?」と言われて、やめた。

 「あなたたちの言葉は沢山の文字があるけど、どうやって覚えるの?」とか「キーボードはアルファベットのものを使っているの?」とか聞かれて、はっとすることがある。
僕は知らず知らずのうちに沢山の文字を覚えてきたけど、それは考えてみればすごいことで、漢字の成り立ち(片と作り)から、初めて出会う文字もなんとなく類推したり、読むことができる。

 それは彼らにとってはどうにも理解のできぬ事のようだ。それに加えて日本は非常に高い識字率を誇っている。実際、ポルトガルにはしゃべれても書けない人は結構いて、そういう環境から比べると、日本の教育もなかなか捨てたもんじゃないな。
 なぜなら、しゃべれても書けぬ人や読めぬ人は積極的に「知」を求めることができない。こうした現実がヨーロッパの階層社会を支えているんだと思う。教育として与えられる平均値が高ければ、それだけ競争も激しいものになる。それはより多くの人に可能性が与えられているということだ。

 文字で日本を思う一日。

2007年8月16日木曜日

8月16日11時42分のメモ

さてさて、明日からいよいよ夏休み。リスボンを離れて少し旅行してきます。
 遅い夕飯を取ったら、今日は少し早く寝ようかな。。。みなさんも体調には気をつけて。

2007年8月15日水曜日

この天気を思ふ

 ここ何日か風の強い日が続いている。
リスボンは雨の降る前後同様、風の日も肌寒い。
 だが、連日猛暑だったのでこの涼しさはありがたい。それに肌寒くなるのを見越して、いつもより多めに服を着ることを覚えたので、もうそんなにこの気候の変化は気にならない。

リスボンはこの上半期、ほとんど雨も降らず、天気のいい日が続いていた。少なくとも僕はそう思っている。ポルトガル人の友達が言うには、それでも今年は雨の日が多かったようだが。


 気候が人に与える影響というのは計り知れないものだと思う。
天気のいい日は気分がいいし、雨の日は何だか鬱屈とした気分になる、といった気分の問題にとどまらない。ポルトガルには強い日差しを避けるために厚く作られた壁や小さな窓といったように建物にも影響を与えている。

 例えば、東京の僕の暮らしは、朝起きていつも見慣れた窓の向こう側が灰色になっている日もあれば、まぶしい朝日が寝ぼけ眼に射すように沁みる朝もある。

 だが、リスボンの僕の部屋では、朝からたいてい明るい日差しが迎えてくれる。朝9時頃、東京に比べれば何だか低い陽射しが、僕の狭い部屋の壁にいつもと同じ形の光が射し込んでいるわけだ。

 そういう朝を毎日過ごしていくと、何だかこの国の楽天的な気分とか、のんびりした雰囲気の理由が分かるような気がする。

2007年8月14日火曜日

夏休みの前に・・・

今日ようやく、仕事が一段落した。

今回は本当にきつかった。。。

 Aires Mateus e Associadosは他のポルトガルの設計事務所が夏休みを迎えるこの時期も開いている。と言っても、所員は交代で長い夏休みを取り、事務所の様子はほとんど夏休みといった雰囲気だ。

 春先に比べると本当に事務所は静かで、建物二階部分のパティオ(中庭)を介して事務所内にさんさんと太陽が降り注いでくる。
 
 長いお昼が終わってしばらくすると、みんな集中力が切れ始め、ボールで遊んだり、夏休みの計画を話したり、時にはクリケットが始まったりもする。

 僕はそんな所員たちを横目に朝早く事務所に行き、一番最後に事務所を閉めて帰るという日々がここ二週間くらい続いていた。言葉が母国語で無い以上、溜まっていくストレスをなかなか解消できず、悶々とした日々を送り、ついつい口数が少なくなる事もしばしばあった。そんなきつい日々もこうして終わってみると何だか清清しい気分だ。というよりは素直に疲れた。母国語以外でコミュニケーションをとっていくことや、それなりの責任を持って働くことは、時に厳しくつらいものだということを改めて実感した。


明日から休みだという実感はまだ無いのだけれど。。。




2007年8月11日土曜日

平和という温度



 ここ数日、深夜に及ぶ残業でかなり疲れがたまっていた。今日も一連の仕事で午前中から事務所へ。ところが、昼過ぎからビーチへ行く誘いを受けて、急遽予定を変更。日中ビーチへ行って、その後また仕事に戻ることにした。

 海が少し冷たくて海水浴日和ではなかったがいい日光浴ができた。こちらでは日本と違ってビーチへ海水浴に来るというより、日光浴が目的で来る人が大部分らしい。どおりで海に入ってる人が少ないわけだ。

 砂浜は人で埋め尽くされながらもどこか余裕のある広さだ。砂浜に食い込んだ足の裏が熱い。

 真っ青な海の色はよく見ると何色かの青で、その上には貨物船やヨットが小さくのっている。周囲のざわめきに混じって、子供の甲高い笑い声が聞こえてくる。
 砂浜は暖かい絨毯の様で気持ちいい。その上に僕はタオルを敷き、疲れを吐き出すように空を見上げる。白いプロペラ機が空を飛び回る小さなアクセントになっている。
 時折吹いてくる風が少し肌寒い。波打ち際ではそんな風など気にせず子供たちが走り回っている。

 僕はそんな光景を遠くに見ながら、今の自分のことを考えてみる。
 あぁ25歳。

2007年8月7日火曜日

フォトライフ

 なんか最近このブログも立ち上がりが遅くなってきた。写真が多いせいか?? 


 このブログを書き始めてから、やたらと写真を撮る機会が増えた。僕はもともとはあんまり写真を撮らない方だったので、割と楽しんで撮っている。


 だが、うっかりすると何も撮らない日があったりして、せっかくのシャッターチャンスを逃してしまうことも多々あった。だから意識的に写真を撮ろうという気持ちが最初は強かった。でも最近はきれいな景色とか物を撮ろうという気持ちよりも、歩いてて疲れたなぁとか、あっなんかいい匂いしてるとか、そういうことをきっかけに写真を撮ってみている。

そういう写真も案外いいもんだ。

2007年8月5日日曜日

予定を立てなきゃ



 おっと、たかだか一週間程度ブログを更新しなかっただけで、久々な気分になるな。。。ここ数週間、慌しい日々を送っています。

 リスボンは時折40度を越える日もあり、もうヴァカンス間近と言った感じだ。
 と言うのもポルトガルの設計事務所は大抵が8月半ばから半月程、事務所を閉めるようだ。ヨーロッパ全体がどうやら夏休みといった雰囲気になる。

 Aires Mateus e Associadosも各自、7月から10月の間で4週間ほど自由に休みを取っていいことになっている。僕は8月の中旬辺りから休みを取るつもりだが、なかなかじっくりと予定を立てる暇が無い状況に少し焦っている。まぁ、一月は長いようで意外と短いものだ。慣れない外国での生活は特に短い。
 充実した時間を過ごすためにもきちんと予定を立てたいものだけど。。。

2007年8月4日土曜日

リスボンへの愛は続くか?



 スペイン旅行で感じたことのうちで、最も大きなことは何かといえば。


 私は初めて旅するスペインの行く街、行く街、

全てを美しいと思った。この7月のきつい日射しを受けて、くっきりと輪郭を現したスペインの街並みは僕にはキリッとして見え、どこか仕立て上げたスーツのようだ。

 何だろう。この洗練された感じは?

 私はきちんと整えられた格子状の街並みと所々に現れる広場に、歩く楽しさを感じたものだ。私の訪れたスペインの三都市、ビルバオ、パンプローナ、リオハはいずれも旧市街地に車が入れないようになっていた。といっても狭いわけではなく、車も十分入れる程の広さを持っていた。日本では防火上の問題が・・・なーんて話になりそうだが。。。

 私は今まで感じた事のないような開放感を歩道を歩きながら感じていた。「スペインには広場の文化がある」と言われたが、その通りだと思った。建物で四方を囲まれた四辺形の広場は都市のリビングといった雰囲気で、地面もきれいに舗装されて歩きやすい。歩く楽しさを感じられたのはこのためだったのか。それに比べて、リスボンはそんなに広場の文化を持っていない。もちろん広場はあるが、文化を持っているといえるような特徴はないと思う。せいぜい記念碑があるくらいだろうか。



 私はじりじりと照りつけるスペインの日射しが、建物の輪郭をくっきりと浮き彫りにするのを見て、「あぁこれは直線だ」。。。と思った。リスボンのあの歪んだ街は、正しく手で描いた直線であり、今目の前にしているスペインの街は定規で引いた直線だと思った。
 そして定規で引かれたようなこのスペインの街並みを私は美しいと思うのだった。



 そんなリスボンを私は愛し続けられるだろうか。。。   07.07.14

※この日記は七月初めにスペインを旅行した際のものです。
 その他のスペイン日記は以下のリンクでどうぞ
飛行機07.07.06
パンプローナ07.07.07
リオハの街07.07.08