2008年2月5日火曜日

サグラダ・ファミリア教会


去年の暮れに訪れたバルセロナの話を忘れてしまう前に書きとめておこう。


街の象徴とも言えるサグラダ・ファミリア教会。19世紀から20世紀にかけてバルセロナを中心に活動したアントニ・ガウディの作品だ。

バルセロナには、この教会以外にも彼の作品がある。そのどれもが一種異様な形態でもって、言葉にできないような不思議な魅力に溢れている。

中でも、このサグラダ・ファミリア教会には圧倒されてしまった。

設計者のガウディの死後、1世紀以上経った今、なお完成しない壮大さがすごい。


長くても4年、5年という時間の中で建物が出来上がる現代にあって、いつ終わるとも知れない中世の教会堂建設を間近に見ているようだった。実際、姿形も中世を思わせる。

今なお受け継がれているガウディの偉大な業績は世界遺産としてバルセロナの重要な観光資源にもなっている。そのため、建設現場に入るのに入場料を取られるのが、最初いささか腑に落ちなかったが、内部に入ると教会の建設過程が見えると同時に、長い年月を肌で感じることができた。当然のことながら、僕が今まで見てきた教会は既に出来上がったものであり、さらに教会として長く使われてきたものだった。
その点、この建物は教会として使われる前に見世物として使われている。

人間の利用してきた長い年月が沁み込んだ古い教会堂に比べると、サグラダ・ファミリアは全体の中で新しい部分と古い部分がすぐ分かる。さらには、材質も工法も建設当初とはどうも違うように見えた。この建物が1882年から造られ始めたことと、現代の科学技術の水準を考えると、どこか完成を先延ばししているようにも見えてくる。
しかし、現代の科学でもって可能となる「速度」は、中世の、いつ終わるとも知れない「永遠」というロマンを奪ってしまった。そんな現代にあって、この教会の存在はどこか時代遅れでもあり、私たちが失いかけている何かを教えてもくれるのではないだろうか。


永遠の未完成、これ即ち完成。

0 件のコメント: