
先週の週末、リスボンから電車で40分ほどの海岸の街、Cascaisに行ってきた。今年の7月に竣工した、Francisco Aires MateusのFarol de SantaMartaを見るためだ。
クリスマスイルミネーションの施された商店街を抜けて、10分ほど海岸沿いを歩くと、岬にポツリと白と青の縞模様の高い建物が見える。灯台だ。その下には真っ白い寄棟造りの建物が冬の冷たく青い空に映えて奇妙に見える。
この建物は灯台を改築して、ポルトガルの灯台の歴史と海洋技術に関する数点の展示を行っている。入り口の門を抜けると、突然、目の前に一列に並んだ真っ白い塊が4つ見える。一見して大きいのか、小さいのかわからなくなるような白さだ。というのも見る限り、ベンチや窓といった人との大きさ関係を示すものが一切なく、敷地の一番奥に見える灯台だけが異質に見える。不意を付かれた驚きを前にゆっくりとその白い塊に近づいてみる。正面入り口からは見えなかった大きな開口部や小さなドアが見えてくると、中に置かれた家具がこの白い塊の大きさを教えてくれるかのようだ。
この施設は旧灯台施設部分と拡張部分の二つから成っている。白い塊と入り口は拡張部分に位置し、旧灯台施設はその奥の海に面した部分にある。旧灯台施設には全部で3棟の寄棟と灯台があり、拡張部分と門型の壁で仕切られている。
海岸沿いから見えた寄棟造りの建物は、よく見るとタイル張りの仕上げになっている。一定のパタンで張られたタイルは一枚一枚が微妙に歪んでおり、どこか味がある。3棟ある建物の天井型はそれぞれ異なり、寄棟、アーチ、切妻と3種類あるが建物内部は黒く塗装されていて、内部で天井の違いを認識することはできない。そのことが僕には少し残念だった。