2008年3月16日日曜日

ヴィラ・ヒアル


先日訪れたVila Real(ヴィラ・ヒアル)では、友人のPが街を案内してくれる。彼はリスボンで見るポルトガル人と違って、長身の男だった。その風貌と対照的に話し振りが柔らかく気さくな人柄は不思議な落ち着きも放っていた。

彼に案内されること数時間、土地の人を伴わなければ行けないような僻地へと向かう。

たどり着いた場所は本当に行き止まりの断崖絶壁の上だった。見渡す限りが岩肌となだらかな丘陵がどこまでも続いていく。万に一つここで行き倒れたら、助からないだろう。だが、不思議とそこまで道路が敷かれてあった。


彼が言うにはそこは先史時代くらいからの自然が残っているという。僕は雄大な自然に圧倒された。それは人間の叡智ではなくて、単純な自然そのものだった。気の遠くなるような時間をふと感じて、「景色っていつまで見てても飽きないものなのだな」と思ったりした。


皮肉なことは、デジカメでこの景色を撮ろうと思いついても、フィルターに残る画像はどうも目の前の景色と違うようだった。

僕は思いつくままに彼に質問してみる。

「何故、先史時代の自然を調査したりしないの?」

すると、

「俺たちとお前たちの社会は違うんだ。」


「もし、そんな調査をしようと思ってもどこからも援助がないし、政府だって協力しちゃくれない。」


「この国はこの国のやり方とペースでやっていくのさ。」



僕はそれを聞いて、この自然がいつまでも正体を明かされることなく、ひっそりとだが雄大にいつまでもあり続けるような気がした。



人との出会いと同じようにある場所を訪れることもまた、出会いなんだと思った。



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