2007年12月1日土曜日

ビルバオ・グッゲンハイム美術館


 フランク・O・ゲーリーという建築家をご存知だろうか?

 上の写真はスペイン・鉄鋼の街、ビルバオに建設されたグッゲンハイム美術館。これがそのゲーリーの作品だ。一見して何が何だか分らない程、グニャリと歪んでいる。 この建物は今や彼の代名詞ともなっている。水平、垂直の建物を見慣れた私たちにとって、造形的な彼の一連の作品は、そのほとんどが彫刻的と言っていいくらい自由な形をしている。


 鉄鋼の街・ビルバオは至る所に金属で出来たパブリックアートが置いてある。街の中心部は格子状にきれいに区分けされて、心なしか歩道が広い。雲一つない空の下、川沿いの道をグッゲンハイム美術館に向かって歩いた。川沿いの道は対岸と程よい距離をとって、川の流れに沿って遠くまで見渡すことが出来る。 きつくカーブした川沿いの道に、金属の鈍い照り返しと異様な建物の形が見るものを圧倒するかのようにゆっくりと私の前に現れた。

 写真は美術館の入り口部分。ゲーリーはよく「魚」をモチーフにするが、この入り口部分は波打つ壁面のせいか、まるで海の中に潜って行くような気分だ。入り口を入ると巨大な吹き抜け。波打った壁面に混じってガラスを支える構造体はかなり無骨だったが、全体の大きさから言えば決して醜いものではない。むしろ、どこか力強い印象さえあった。


 3層吹き抜けの波打つような壁面とエレベーターシャフトを取り巻く曲面状に配置されたガラスが、ダイナミックなエントランスホールとなっている。視界の至る所に現れる人影は何だか見ていて目が回るようでもあった。
 各展示室はかなり大きめのものだが、異様な外観がそのまま内側に現れる部分はところどころにしかない。巨大な展示室はまるで、そこに置かれる、あるいは行われる作品を寛容に受け入れるかのようで、作品の大きさによっては展示が困難なのではないかといえるほど大きい。


 しかし、展示室の多くは、決して展示作品とにらみあうような関係ではなく、静かで穏やかなものではなかっただろうか。むしろ、展示作品から発せられるエネルギーを存分に演出していたと思う。そのせいか、展示を見終わった後、私はクタクタに疲れていた。

07.07.06

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