2007年12月27日木曜日

回廊に射す朝日


朝9:00に開館するバターリャの修道院は、入り口をくぐると巨大な礼拝堂にたっぷりと朝の冷たい空気が満ちていた。心なしか天井まで鮮やかに見える、空気が澄んでいるせいだろうか。。。実際、観光地とはいえ、開館と同時に来館する人などほとんどおらず、人の気配の無さが余計に礼拝堂の静かな佇まいを際立たせていた。


礼拝堂正面の祭壇に向けてゆっくりと歩き出すと、靴の音が鈍く足を伝わってくる。ダウンジャケットのポケットから手を出すと、手足の感覚が無くなるほど体が冷えていることに気が付いた。そしてどこか神妙な気持ちになっている自分にも気が付いた。冷たくなった自分の体が生きている実感を教えてくれるせいだろうか。
否、建築のなせる業か。。。
西洋の教会は何故かいつも妙に落ち着いた自分と向き合せてくれる。この巨大さ。高さか。。。


僕はぱち、ぱちっとデジカメで写真を撮ると、礼拝堂と隣接する回廊へ。係りのおばさんにチケットを渡すと古ぼけた大きな扉を開けてくれた。朝のまだ日の差し込まない中庭と回廊は冷えた空気がじっと溜まっているように冷たい。僕はまだ陽の差し込まぬこの中庭を足早に回っていく。僕はこの寒さが中庭から入り込む外気だと気付くと、繊細な装飾を施された柱に囲まれた中庭が、今、自分のいる回廊と開放的に繋がっていることに初めて気が付いた。僕は中庭の背景で目一杯に立ちはだかる礼拝堂が静かに迫ってきた。

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