2007年12月26日水曜日

午前9時のバターリャ



 二週間ほど前に訪れたポルトガル地方都市、バターリャ。以前書いたように、この旅は朝早くからバスに乗るなど、かなり気合の入った旅だった。一日で3都市を回ったがその一番最初に訪れたのがこの街だった。


この日朝早く起きて、バスに乗ったものの、バターリャに到着したのは午前9時。僕は前日に夜遅くまで遊び歩いたせいもあって、バスの中ではウトウトとまどろんでいた。気が付くと、バスの時計は8:45を過ぎている。僕は一瞬、寝過ごしたかと眠気が一気に吹き飛んだ。すると、窓の向こう側に突然、巨大な建造物が現れる。それはまるで、荒野に建つ巨大な建造物といった風で、僕の目を釘付けにするも、すぐ障害物に遮られて、見えない。僕は夢見心地で、もう一度見たいという激しい好奇心に駆られた。


 すると、やはり見間違いではなかった。一見、何もない平野に巨大な修道院が建っている。僕は逸る気持ちを抑えきれず、興奮気味にバスを降りると、外気が痛い程冷たかった。週末、土曜日だったこともあって、その時間帯はほぼ全ての店舗が閉まっていた。僕は仕方なくバス停から修道院へと直行。


 バスから見たあの異様な様子は、バターリャの街の小ささとこの修道院の大きさ、存在感の差異じゃないだろうか。見るものを圧倒するというけれど、これもそういった体験の一つに違いない。朝の到来を告げる細い光が建物に黄色く反射してまぶしい。街の端に位置する修道院の入り口は北側にあり、正面は前面日陰になっていた。日の差す広場から修道院の落とした広い影に入るとヒヤリと寒さが増した。僕は建物正面を埋め尽くす装飾を前に黒く開いた小さな扉をくぐってその中へと入ったのだった。



写真は世界遺産のバターリャ修道院の一角、未完の礼拝堂。


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