
ポルトガルで建物を見ていると、写真集やインターネットで見たときよりもずっと良いと思うことがある。実際に現地に行ってみて初めて、建物の良さは分かるという単純な原則をポルトガルは改めて教えてくれる。(とはいっても良いものばかりじゃないけど。)
上の写真はJoão Luís Carrilho da Graça(カヒーリョ)による歩道橋。
僕は最初にこの橋をカヒーリョの作品集で見たとき、ほとんど素通りに近かったと思う。一瞬、背景の自然と対照的に写された幾何学の構図は印象に残ったものの、パッと見て、不規則な三角形の連続が構造体になっているとわかると、そんなに気にも留めずに次のページをめくったのではなかったか。(写真集には海抜が上がって河がもう少し満たされているときのものだったと思う。)
しかし、実際に行って見ると、これが意外に忘れられない。以前にも書いたが、アヴェイロはポルトガルの有名な建築家たちがキャンパス内の建物を設計しており、建物の見所はかなりある。この橋はその中でも一、二を争う印象を僕の中に残した。僕はこの橋を事前に知っていただけに、深く印象に残ったことが意外だった。
今、振り返ってみると、やはり写真に撮りきれない空気があること。(写真集などの)写真はどうしても中心としての被写体を持つが、実際に行って見るといろいろなもの(気温とか自分の気分とかも含まれる。)との関係の中で物(建物)が見えること。そして、情報過多な現代に生きる自分が体験的であることより観念的になっていたこと。
まっ 大した事じゃないけど。
2 件のコメント:
わーかーるー
360度サラウンドで迫る実感は
そこでだけの唯一の体験だよね。
たぶん、音とか空気の振動とかも
すごくかかわっているよね。
kko>
そうそう。
視覚的な情報って一番大きいけど、実はそれ以外の音とか、空気の振動とかが体験には欠かせないと思う。
建物を建てる上では、その建物がどう見えるかということ同様、どういう体験(視覚以外の)をもたらせるかという事もまた本質的なんだと思う。
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