2007年6月17日日曜日

歩け

 さて、ここでは最初に「ポルトガルの現代建築といえば」ということで、この建物を取り上げてみよう。カーサ・ダ・ムジカ。
 オランダの建築家レム・コールハースの代表作の一つ。ある時期、日本のいろいろな建築雑誌でもよく取り上げられていた。そういう意味では僕も写真でよく見た事のある建物だった。写真の現実から入った僕にとって、この建物は意外と狭い場所に建っている。雑誌の写真ではおそらく広角のレンズを使っているので、人間の目で見たのとはかなり印象が違うようだ。
 
 この建物の配置構成は上の写真のように地面がところどころめくり上げられており、広場の中心に建物が巨大な岩の様にゴロリと置いてある。滑らかな曲面の地面と硬い多面体の建物は対照的で、お互いの存在を際立たせている。中世の建物の巨大さとは違う、この建物はかなりの重量感を持っている。圧倒的な存在感といえる。ところどころに開いた大きな窓は多面体のアクセントだが、全体的には無口な建物だ。そんなアクセントの一つから宇宙船の入り口のように階段が下りている。遠くから見ると小さな入り口も、近づくとかなり巨大に迫ってくる。

 入り口を入ると何とも言えない。この建物の形の内部がそのまま見える。内部は巨大ながらんどうで、耳を澄ますとわんわんと、どこからか反響してきたうなりが聞こえてくる。がらんどうの吹き抜けは建物頂部まであり、つっかえ棒のようなコンクリート梁が3本、宙を走っている。

 がらんどうの吹き抜けに目が慣れると、右側にあるチケットカウンターに目が行き、その奥にもどうやら階段があるようだ。改めてがらんどうの吹き抜けを見ると、ゆるい丘を登っていくように階段が上部へと導いてくれている。私は素直にその丘を登っていくことにした。

カーサ・ダ・ムジカ:http://www.casadamusica.com/default.aspx

0 件のコメント: